マックス・レーガーの神髄。

音楽性の違いで、揉めた。

妻と。



音楽性の違いというか、孫Rちゃんの指導方針の違いで揉めた、というか。
まあ、音楽において何を重視するか?
とりあえず今、何に重点を置くか?

という視点の相違で、大喧嘩。


まあ、それだけ愛情がある、という裏返しでもあるので、悪いとばかりも言えないけども。


しかしたいてい、世の中、女の方が強いので。
最終的には、ワタシが負ける。
そして身を引く。


でも、負ければワタシだって面白くないから。
頭に来るし、腹も立つ。



そんなとき、どうするか。


マックス・レーガーの無伴奏ヴィオラ組曲を弾きます。
この曲のすごいところは。

こういう、腹立つ! ムカつく! 激オコ!
っていうとき、何かをめちゃくちゃに破壊したい、暴れまくりたい、殴りたい、蹴りたい、そういう暴力的で攻撃的な、そんなネガティブ極まりない気持ちのときに。

そんな気持ちを乗せて弾くのに、非常に適しているんですね。
これは、コレですごいです。


バッハとかモーツァルトとかベートーヴェンとか、正統派クラシックだと、そういうネガティブな感情はほとんど出てこなくて、どっちかっていうと非常に調和のとれた、穏やかだったり、静謐だったり、時に激しくても、それは暴力的なものでもないし、もっと高度な精神性を秘めているし、楽し気だったり、明るく華やかだったり、あるいは悲しみ、哀愁、憂愁……とにかく、健全なものばかり。


マックス・レーガーは、違います。
ネガティブで、インモラル、不謹慎極まりなく、下劣で下品。
暴力的で粗暴で、破壊的。
カオスの極み。
悪の美学です。

心を病んだ人が、アルコール依存になったり、グレた少年が暴走族に走ったり。
そういう、極めて不道徳的で堕落的な世界が、マックス・レーガーの音楽には展開している。
そんな感じがする。


だから、負けて悔しい! 花一匁(はないちもんめ)っ!!
あぁ~、ムカつく、ちくしょう、このやろ、このやろ、ぶっ壊すッ!

……とかいう、ネガティブ極まりない、不埒で不遜な感情を、曲に込めて、気持ちをぶつけて思いっきり弾くことができる。

こんな曲、他にはないです。

バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番とかもいいけど、あっちはもっと正統的な悲痛さとか哀愁、爆発する激情、みたいな感じですからね……


マックス・レーガーの方は、もっと下賤な感情をも許容してくれる。
第1楽章は、出だしから激しい感情をぶつけてくる。
感情が波打つ。
そして、不調和で行き場のない、怒り、破壊衝動、そういったケイオティックな不道徳な感情を吐き出してくる。

およそ調和のとれた音楽とは程遠い。

でも、そこがいい……


第2楽章は、第1楽章にさらに輪をかけてテクニック的な困難さを増す。
かつては、まったくまともに弾けなかった。
今の方が、まだ弾けそうな雰囲気が漂っている。
昔は不可能とさえ思えた困難極まる重音奏法も、今ならずいぶんと高率で音程を合わせることが可能になってきた。
それでも、完璧に仕上げるには、まだまだ修練が必要そうだが……昔は修練することもできないレベルだったから。
各段の進歩と言えば言える。

第2楽章の方は、3拍子の舞曲風な曲調にはなるのだけども、やはりどこかグロテスクというか、不安をあおるかのような、とっても精神的に不安定な感じの、神経症的な気分が支配している。

でも、そこがいい……


pからクレッシェンドしてfになる場面が多いのだけど、焦燥感というか、緊迫感というか……
夜の街の裏路地で、犯罪者がこそこそと暗躍しているような、そんな後ろ暗さと見つかったら終わりだという緊張感。
とっても不道徳な、そんなスリルを感じるワケです。

心を病んでいる人が、麻薬に走って、こっそりと売人から入手しているような、そんな後ろめたさと、それと同時に感じる、妙な快感、高揚感。


難しい重音が連続する場面では、そんな暗い感情を表面化させて爆発させる。


しかし、b3つの中間部に入ると、一転してもっと曲は心の内面深く入っていき、麻薬中毒患者が見る、バッドトリップ、悪夢の世界になっていく。
やたらと臨時記号が多く、曲調は意味不明。
非常にけだるく、やる気がないけども、ときどき狂気が噴出してくる。

まさに狂人の妄想。
しかし、妙に共感を覚える!

このグロテスクで異形な造形が、なんだかしっくりくるというか。
ま、ワタシも心は相当、病んでいる方ですからね……


曲は再び最初にダ・カーポして、最初と同じ部分を繰り返して終わる。

全体を支配する、憂鬱で不謹慎で、不道徳で退廃的な気分、しかし時折、狂気を噴出させる激しさも見せる、グロテスクで異形な音楽造形。


RPGとかのゲームをやっていて、たとえばモンスターにゾンビとかが出てきたりしますよね。
そのグロテスクで気持ち悪いデザインに、妙に惹かれるものを感じるときがある。

ホラー系の映画で、不気味で気色悪い恐怖感に、なんだか快感を覚えるときがある。


そういう感覚と、似ているような。


マックス・レーガー、まさに病んだ現代人のための曲です。
とはいえ、ワタシは無伴奏ヴィオラ組曲以外の曲を一つも知りません。

Wikipediaとかで調べてみても、やはり日本ではあまり知られていないようで。
ドイツの作曲家で存命中はかなり著名だったようですが、日本ではメジャーにならなかったようだ。
曲も全然、有名なのが無い。

作風はやっぱり、どれも晦渋(難解、ということ)で意味不明系らしい。
ま、無伴奏ヴィオラ組曲を弾いてみても、まさにそうだからな……


でも、ただ意味がないワケじゃなくて、上で述べたように、人間の持つ、あらゆるネガティブで不道徳で不埒で、下劣で下賤で、社会生活上は表に出してはいけない、破壊的で暴力的で、神経症的で鬱病的な、そんなような厄介な感情をそのまんまどストレートに表現している、そんなような曲だと、ワタシ個人的には感じる。


他人にお勧めは出来ないけども、自分的はすっごくいいです。
ハマります。


心を病んでいる人には、いいかもしれない。
ただし、テクニック的には至難を極めます!


一応、挑戦はしてるけども、最終的には完璧に近い精度で弾きこなし、録音するのが目標ではあるものの。
今のところ、録音にまでこぎ着ける見通しは立っていない……


クソムズいです。
でも、最初から最後まで間違えずに通して弾くことができなくても、音を取りつつ曲の全容を感じ取ることができるだけで、心にズンと響くものがある。
それだけで、この曲を日々、弾く価値があるというものです。
日々の練習、それ自体が、楽しいのです。
別に、何かを求めて、何かを我慢して努力しているワケではないのです。


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ばっかバッハ

Author:ばっかバッハ
ヴァイオリンを習い始めたのは16歳くらい。
それから30年以上の歳月が流れ…今ではアラフィフ。
年齢とともに楽器を弾くのが辛くなってきたので、ゲームで遊ぶことも。

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