人前で弾く緊張について。

故あって、人前で弾いてきました。
ヴァイオリンを。


お金をいただいて開くコンサートとかじゃないですよ。
とある集まりの中で、余興みたいな感じで。
会場もホールとかじゃなく、会議室くらいの広さだったかな。

でも意外に聴衆はたくさんいた……


弾いた曲目とか、開催日時、場所等は、参加者が万が一これを読んで、「あっ、これを書いてる人って、あの時弾いてた人なの!?」とバレるとイヤなので、詳細は伏せておく。


曲はクラシックとかじゃなく、歌のメロディーラインだけをヴァイオリンでワタシが担当して、その他にも複数の楽器が入って合奏、みたいな形式での演奏でした。
ヴァイオリンが主旋律担当なので、一番緊張する、という……


正直に率直に言って、もうガクブルでしたよ。

本番の1週間前くらいかなぁ……集まってリハーサルのときから、すでにガクブルで弓は震える、左手は力が入らなくてうまく押さえられない、とさんざんな有様。

そこから、どうやって本番を乗り切ったのか。


まず重要なのは、日々の練習。
ゆっくりと遅く、左手指はがっつりと力を込めて、強く押さえながら音もはっきりしっかりと大きく出して、指に、体に、自分自身の内側に奥深く浸透させていくような、そんな練習を毎日、重ねた。

日々の練習で一番重要なのは、絶対に間違えないこと。
とにかく、「正しく弾く」ことだけを繰り返す。
練習のときに間違えて弾くと、間違えるクセがつく。

これは致命的。
練習のときには、絶対に間違えずに正しくだけ弾く。
それを何度も繰り返して、「正しく弾くクセ」を体に沁み込ませる。

いつ何時でも、常に「正しく弾くクセ」を体に覚え込ませる。
例え、緊張してガクブルで、頭が真っ白になって次に何弾くのか分からなくなったとしても、ついついいつものクセで正しく弾いてしまう、それくらいに深く強烈に、正しく弾くクセを体に覚え込ませる。


これが基本。


でも、これだけでもまだ足りない。

人前で弾く、というのは、どう頑張っても、何をどう努力してどう工夫しても、絶対に緊張するものである。


ヴァイオリンじゃなくて、ビリヤードの話になりますが。
昔、ビリヤードが流行っていた頃に読んだんですが(30年以上は昔かな?)。

ビリヤードの、世界選手権みたいな大会で、日本人選手が決勝に残ったらしくて。
その日本人選手が書いていたのですが。
優勝を決する最後の戦いで、対戦相手の誰か(日本人じゃなくて外国人。どこの国の何ていう人かなんて忘れた)の撞く番。
このひと撞きでナインボールを沈めれば、その対戦相手の外国人の優勝、という、最後の勝負を決める一瞬だったそうなんです。

ふと、その外国人を見ると、手がブルブル震えていたそうで。
ものすごく、相手も緊張しているんです。

しかし、その外国人は、そんな手がブルブル震えるくらいの緊張状態の中でも、正確なショットを放って見事にナインボールをポケットに沈め、優勝を手にしたそうなんです。

そのとき、その日本人選手は、これが世界レベルなのか、と非常に衝撃を受けた、とかいうニュアンスのことを書いていた。


つまり、「強い人」というのは、緊張しない人、のことではない、ということです。
手が震えるくらい極度の緊張状態の中でさえ、力を発揮できる人、それが本当に強い人なんだ、ということなんですね。


ヴァイオリンも同じなのかなぁ、などと考えた。
緊張してガクブルな状況下でさえ、いい演奏ができる。
それが一流の奏者なのか……?
などと。


では、緊張に負けない心構えとは、どんなモノなのか。


ワタシなりに今回得た答えとしては。


お客様に楽しんでいただきたい、という、おもてなしの心なのではないかな、と思った次第です。
何人も詰めかけてくださいました聴衆の皆さまを前にして。

そりゃあ、緊張します。
ガクブルです。
だってワタシ、しょせんはレイトですよ?


しかし。
ここで気持ちを切り替えるのです。
これから弾くこの曲……この曲の良さ、感動、心に沁みるところ、そういう楽しさを、みんなに伝えたい。
多くの人と共有したい……
みなさんに楽しんでいただきたい。

そういう気持ちから出発して、演奏に臨む。
この曲の、ここがいいんだよね!
ここの和声的な進行が、心に沁みるんだ!
ここの、この音色がたまらなくいいんだよ!

そういうのを、多くの人に伝えたい、同じように、感動してもらいたい……
そういう、おもてなしの気持ちで弾き始めると、そういう気持ちの方が緊張を上回って、緊張した状況下であっても、間違えたりなどせず、むしろ練習のときよりもうまく、音楽的にノッて、キレイに、ステキに弾ける。
聴衆が前にいると、練習のときよりも、ダイレクトにその反応を感じることができる。

よしっ、次の和声的な響きがたまらないんだぜ? ここを聴いてくださいっ! どうぞっ!
みたいな。

そういう、サービス精神というのか、おもてなしというのか。
そういうのがどんどん沸き上がってきて、むしろ練習のときよりも、本番が一番、うまく弾けた、というような結果になるワケなんです。


もう、サービス業の極み、というモノです。
ワタシ、こう見えても(見えてないけど)、若い頃は飲食関係の接客業とかもしてましたからね……
サービス業、というのがどんなものか、一応は分かっているつもりではいます。

人前でヴァイオリンを弾く、というのも、究極のサービス業なんじゃないか、いや、究極のサービス業そのものだな、そうに違いない、と今回は確信いたしました。


まあ、当然ですよね。
お客様に楽しんでいただくのが、演奏家の使命ですもんね。
そりゃあ、究極のサービス業に違いありゃしませんや。


だから、、極度の緊張下でも間違ったり、弓が震えて跳ねてバコバコ弦の上で踊ったりなどせずに、きちんと曲を弾ける力というのは、突き詰めていくとサービス業の、お客様に楽しんでいただきたい、という精神に尽きるんじゃないか、と。
そう、思ったのでありました。


ま、実際、本番が一番、練習のときよりもうまく弾けて、評判も上々でした。
いや、本当はもうガクブルで緊張しまくっていて、本当のことを言うと、緊張のしすぎで吐き気はもよおすは、お腹は下るはで、もう本当にヒドい状態だったんですけどね!


もうね~、一週間どころか二週間前くらいから、緊張のあまり慢性的な吐き気、下痢、あと謎の気持ち悪さに苛まれ、苦しめられる日々が続いていましてね。
それくらい、人前で一発弾く、っていうのは厳しい行いなワケなんですわ。


でも、そんな極度の緊張を上回るのは、お客様に、最上の音楽をお届けしたい、この感動を同じように味わってもらいたい、共有したい! という、究極のサービス精神というか、おもてなしの心というのか。

そういったモノなんじゃないか、とつくづく、しみじみと実感した次第でありました。


まあ、めっちゃ疲れましたけどね……
なんか、ワタシ一人だけがガクブルだったみたいで(だって主旋律担当ですよ?)
共演者の方から、「楽しかった♪」とか言われましても。
俺様にはそんな余裕、まったくなかったぜぇ~!(T▽T)


表向きは、楽し気に演奏しているそぶりで、演技しましたけども。
本当はガクブルで、楽しんでる余裕なんて皆無!
本当は必死!!

必死で、お客様に楽しんでいただけるよう、最善の努力をいたしただけでありました。


でも、結果は、意図した通り、上々の出来に終わったようだったので。
まずは、良かった。
ε=(´o`;)



これがですねぇ~、「自分がいいカッコしたい!」とか「いいトコ見せてやるぜ!」とか、「称賛を得たい!」みたいな、個人的な欲求から出発してしまいますと、100%、絶対に失敗します。


人間っていうのは、どういうワケかは分かりませんが、そういう風にあらかじめ出来ている。
それは、まぎれもない事実です。


でも、人間、ついつい、自分がいいカッコしたい、いいトコ見せて、称賛されたいッ!! というような欲求を持ってしまいがちです。

そういう、個人的かつ自己中心的な欲求を、じゃあどうすればいいんだよ!?
というテーマに関しましては、ちょっと今夜は遅くなってしまいましたし、明日の業務にも差し支えますので、明日以降に続く、ということで……


(続く)


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ばっかバッハ

Author:ばっかバッハ
ヴァイオリンを習い始めたのは16歳くらい。
それから30年以上の歳月が流れ…今ではアラフィフ。
年齢とともに楽器を弾くのが辛くなってきたので、ゲームで遊ぶことも。

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